雨降るは……
屋久島(やくしま)に暮らした詩人(しじん)山尾三省(やまおさんせい)さんには、雨の情景(じょうけい)をつづった詩がいくつもある。そのうちの一つ、「雨の歌」は〈雨降るは よろし〉で始まる。〈ささやぶのささの葉(は)から/おびただしく滴(しずく)の流れおちるは よろし/川音高(かわおとたか)きは よろし〉
▼雨を喜んでいるというより、雨を受け入れている。そんな気持ちが〈よろし〉から伝わる。〈古くなった家に雨洩(あめ)(も)りがして/洗面器(せんめんき)でそれを受けるのも またよろし/洗濯物乾(かわ)かぬは けれどもにくし〉
▼「ひと月に35日降る」とも言われるほど、屋久島(やくしま)は雨が多い。その島にしても、一昨日は思いがけぬ雨量(うりょう)だったか。島の東部(とうぶ)のあちこちで土砂(どしゃ)が流され、登山道や自動車道路をふさいだ。縄文杉(じょうもんすぎ)をめざす登山者たち300人余りが、一時取り残された
▼「屋久島(やくしま)は雨が降るのが普通と思っていたが、甘く見ていた」。不安な一夜(ひとよ)を明かした登山者の言葉が、本紙(ほんし)デジタル版にあった。水を十分に持っていたからよかったとの話がある。一方で、乏(とぼ)しい予備(よび)の食料を分け合った例も。備えることの大切さを思う
▼気象庁(きしょうちょう)によると、今回もまた「50年に1度の記録的な大雨」だった。そう簡単に降らないはずの雨が、毎年(まいとし)どこかで降る。昨年の梅雨(つゆ)がこの国にもたらした爪痕(つめあと)を、忘れないようにしたい。交通が寸断(すんだん)されたとき、水や食料の備えが役に立つのは山に限らない
▼毎年やって来る梅雨(つゆ)を、山尾さんは〈時季(とき)のめぐみ/時季(とき)のめぐり〉と書いた。恵(めぐ)みを望み、災(わざわ)いなきを願う時季(じき)である。
【天声单词】
▲屋久島(やくしま):①鹿児島県大隅諸島の一島。面積503平方キロメートル。②鹿児島県大隅諸島の屋久島と口永良部島からなる町。
▲詩人(しじん):①詩を作る人。詩作に巧みな人。②詩情を解する人。
▲情景(じょうけい):①人の心を動かす風景や場面。
▲雨量(うりょう):①地上に降った雨の量。②「降水量」に同じ。
▲一夜(ひとよ):①一晩。いちや。② ある夜。③ 一晩じゅう。
▲デジタル(digital):①物質・システムなどの状態を,離散的な数字・文字などの信号によって表現する方式。
▲気象庁(きしょうちょう):①国土交通省の外局の一。気象に関する業務を担当する。
▲爪痕(つめあと):①爪でかいた傷あと。②災害や事件などが残した被害のあと。
▲災い(わざわい):① 病気・天災・盗難など人を不幸にする出来事。災難。②不快なこと。嫌なこと。
▲寸断(すんだん):①細かく切ること。ずたずたにすること。②少し切ること。
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秋本久美子911
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hijackoryx
帆锅,听不懂你在说啥😂
听友191028956
声音真好,